で、いつになったら音源出ますか?
音楽を聴く手段は年々多様化している。
昔ながらにCDを買ったりレンタルする人もいれば、ダウンロードで入手したり、最近ではAmazon Music Unlimitedなどの定額聴き放題サービスを利用する人も多いだろう。
しかし、聴く手段がいかに多様化しようとも音源自体が市場に出ていなければどうしようもない。
そこで今日は「CDでも配信でもいいから音源出して!」という個人的な願望を吐き出す事にしよう。
No.1 「ZORRO」/遠藤正明
1996年、NHK衛星第2テレビジョン(現BSプレミアム)で「快傑ゾロ」というアニメが放送されていた。ジョンストン・マッカレー原作の小説を元に作られた、仮面の男ゾロの活躍を描いた英雄譚だ。
「ZORRO」はそのオープニングテーマであり、後に「勇者王ガオガイガー」の主題歌「勇者王誕生!」で一躍アニメファンの間でも有名になる遠藤正明氏が歌唱している。
冒頭の疾走感溢れるギターのイントロから一気に曲に引き込まれる。OP映像では更に、SEに合わせて主人公ディエゴがゾロに姿を変える様が映し出され最高にカッコいい!
そして本放送からずっと覚えていた歌詞が以下のフレーズである。
「どこかで誰かが笑顔取り戻す ZORROという文字を見つめて」
虐げられた弱者のために戦い、街の希望として絶大な支持を得ながら、一切の見返りを求めず皆の前から静かに去っていく。
ゾロの強さ、気高さ、そして孤高を歌った名曲である。
そんな名曲でありながら、2018年現在CDや配信といった音源化は全くなされていない。
一応CD音源自体は出てはいるのが、アコースティックVerのライブ音源というかなり特殊な代物しかないのが現状だ。
No.2 「誓い」/遠藤正明
「快傑ゾロ」からもう一曲、こちらはEDである。遠藤氏といえば上に挙げたOPや「勇者王誕生!」、JAM Projectの活動などで熱く激しい曲のイメージが強いが、こういったバラードも実に聴かせてくれるのだ。
こちらは確認した限り、アレンジ含め一切の音源が販売されていない。そもそも2番が存在するのかどうかさえ不明だ。
「快傑ゾロ」自体マイナーな作品で、BDはおろかDVD、VHS、LDなどどの媒体でもソフト化はされておらず、動画配信もない。
遠藤氏は現在も精力的に音楽活動を続けており、何とか主題歌だけでも歴史の闇から拾い上げて欲しいところである。
ちなみに、遠藤氏のファーストアルバム「CHAKURIKU!!」に収録されている「Oath ~誓い~」は全く別の曲なので注意。
No.3 「YAHHO!! かなめもVer.(フルサイズ)」/堀江由衣
【「BEST ALBUM」9月20日発売!】 「YAHHO!!」/堀江由衣 CM SPOT③
2009年に放送されたTVアニメ「かなめも」のエンディングテーマ。アニメ本編にも出演している声優の堀江由衣が歌唱している。上にCM動画があるように、この曲自体はシングルCD化されている。更には各種配信サイトでも販売中で、入手は容易だ。
しかし、ここで挙げたいのは「かなめもVer.」である。これはTV放送用のバージョンで、要所要所にコールが入っているのだ。特にサビ前の「Y!A!H!H!Oh~! YAHHO!!」の部分はライブでファンがコールするのがお約束となっている。
そのコールの楽しさに慣れた人や、TVでこの曲が気に入った人にとっては、コールの無いオリジナル音源は少し物足りなく感じてしまうのではないだろうか。
「かなめも」は放送中にキャラクターソング集とサウンドトラックを兼ねたCDを販売しており、「YAHHO!! かなめもVer.」も収録されてはいるのだが、残念ながらTVサイズのみで、フルサイズは収録されていない。
また、「YAHHO!!」は堀江氏のオリジナルアルバム、並びにベストアルバムにも収録されているが、いずれもシングルと同じ、コールの無いオリジナル音源である。
ここまで来るとかなめもVer.のフルサイズが出る可能性はほぼゼロといっていいだろう。1番と2番で大きくメロディーが変わる楽曲でもないので、いっその事音声編集ソフトでも用意して自分で作った方が早いかもしれない。
No.4 「アイドルになっちゃうぞ」、「Na・de・shi・ko探偵」、「Berry Very Good Love」、「アチチッ」/やまとなでしこ
いきなり4曲も並んでいるが、諸事情によりまとめて記載する。
やまとなでしことはNo.4で紹介した声優の堀江由衣と、同じく声優の田村ゆかりによるユニットである。1999年にラジオ番組「SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン」内で結成。正式な解散・休止等は宣言されていないが、2003年のファーストライブツアー以降表立った活動はしていない。
上に挙げた4曲はそのライブツアーで初披露された曲だ。
楽曲が初披露されたのがライブツアーで、そのライブツアー以降ユニット活動はしていない。すなわち、この4曲の音源は出ていないということである。それどころかこのライブツアー自体、DVDなどのパッケージ化が一切なされていないため、実際に会場に足を運んだ者しか耳にしていない文字通り幻の楽曲となっている。はっきり言って私もユニットバージョンに関してはどれも聞いたことがない。
唯一「Berry Very Good Love」のみ、それぞれの単独公演で披露された事があり、更に両公演ともパッケージ化されているため、これはこれで入手が難しくなってはいるものの、楽曲の視聴自体は一応可能だ。私も堀江氏の武道館ライブに参加したため、この曲だけは聞くことができた。
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しかし、それ以外の3曲についてはライブ音源すら無く、どういう楽曲か確認することさえ出来ない状態だ。現段階では「Berry Very Good Love」同様、どちらかの単独公演等で披露される機会を待つしかなさそうである(「アチチッ」に関しては2004年に堀江氏のファンクラブイベントで歌われたという情報がある)。
いずれにせよこれらの楽曲がちゃんと「やまとなでしこ」名義で、CDなり配信なり正式な形で世に出たことはなく、今後も出る兆しは全く無い。
それ以前に正式なレコーディングすらまだしていないだろう。今回挙げた中では、間違いなく最も希少性が高い楽曲といえる。
No.5 「Rush!!ウルトラフロンティア!!」/竹内浩明
データカードダス「大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア」のテーマソング。
「大怪獣ラッシュ」はウルトラシリーズで有名な円谷プロの創立50周年の新事業展開の一つとして2013年に始動。バルタン星人、ガッツ星人などおなじみの異星人達が主人公で、地球を狙う悪の侵略者ではなくハンターとして危険な怪獣を狩るという内容だ(2015年にサービス終了)。
「Rush!!ウルトラフロンティア!!」はその主題歌・挿入歌としてゲームのプロモーションビデオや短編アニメで使用された。
一見他のシリーズと遜色ないヒロイックな歌に聞こえるが、本家のウルトラマン作品にはない作風・設定が歌詞にも反映されている。
特にサビの終盤にある「使命と欲望が渦巻くこの銀河で勝利をつかみ奪れ!」というフレーズは、登場人物の誰もが様々な思惑や過去を抱えている、正義も悪も無い本作独特の世界観を表していてお気に入りだ。
しかし残念ながら、この曲も現在に至るまで音源のリリースは一切されていない。
天下のウルトラシリーズなんだから、どっかで出てるだろと思ったら大間違い。単独でのCD化や配信はもちろん、度々発売されている主題歌集などのアルバムCDにも尽く未収録なのだ。
例えば2016年3月にシリーズ50周年を記念して発売された「ウルトラマンシリーズ放送開始50年 ウルトラマン主題歌大全集 1966-2016」
ウルトラマンシリーズ放送開始50年 ウルトラマン主題歌大全集 1966-2016
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怒涛の5枚組全99曲のボリュームで、この手のアルバムでは未収録かカバー楽曲で処理される事の多かった「ウルトラマンティガ」の主題歌「TAKE ME HIGHER」が本家本元のV6バージョンだったり、権利関係の都合で作品自体が幻の存在と化していた映画「ウルトラ6兄弟 VS 怪獣軍団」の主題歌である「ぼくらのウルトラマン」までもが収録など、奇跡のようなラインナップで、正に『ファン待望の主題歌集アルバム』と公式が謳うに値する一品だ。
さらに同年12月には「ウルトラマン 主題歌・挿入歌 大全集 Ultraman Songs Collected Works」が発売。
ウルトラマン 主題歌・挿入歌 大全集 Ultraman Songs Collected Works
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こちらは先の主題歌大全集を更に上回る12枚組全263曲という大ボリュームで、主題歌、挿入歌に加え、イベントやバラエティ番組など企画ものの曲やイメージ・ソングまで網羅されており、50周年を締め括るにふさわしい集大成と呼ぶべき内容に仕上がっている。
ところがいずれのアルバムにも「Rush!!ウルトラフロンティア!!」は収録されていない。そして、これ以降に出た主題歌集の類にも一切収録されていないのだ。
「大怪獣ラッシュ」の後に展開されたデータカードダス「ウルトラマン フュージョンファイト!」の主題歌は早々にCD化や配信が実現しただけに、「何故ラッシュだけこんな扱いなのか・・・」と思わずにはいられない。
No.6 「蛍(劇場公開Ver.)」/サザンオールスターズ
2013年公開の大ヒット映画「永遠の0」の主題歌であり、歌うは国民的バンド、サザンオールスターズ。当然ながらこの楽曲もちゃんとリリースされており、入手する手段はいくらでもある。
が、「劇場公開Ver.」となると話は別だ。
これは有名な話なので今更説明するまでも無いかもしれないが、映画のエンドロールで流れる「蛍」はCD音源と違って間奏に飛行機のエンジン音が入っている。
もしかすると感極まって映画のエンドロールをご覧の方は、気付いていないかもしれませんが…そこで流れるサザンの「蛍」、間奏が通常のバージョンと違うんですよ〜
— 映画『永遠の0』 (@eienno0_movie) 2014年1月17日
以前、山崎監督のコメントで“宮部に会えた気がする”とあったように、この演出がさらにイメージを誘うのです。。 #永遠の0
些細な演出ではあるが、これで歌と作品の結びつきがより増したように思う。何らかの形でこのバージョンも音源化されたら嬉しいが、あくまでエンドロールの中で映画と一体になった形でのみ味わうのが正解なのかもしれない。
他にも「ジーンダイバー」のサントラ(メインテーマが名曲!)だとか、「ビーストウォーズリターンズ」の海外版PVで流れた「Evolution Revolution」だとか願望は尽きないが、キリが無いのでこの辺にしておこう。
最後に、「CD化してほしいけど、流石にもう無いだろう。」と思っていたら実現した事例を紹介する。
番外編「詩人の旅(ピアノイントロVer.)」/茅原実里
[Official Video] Chihara Minori - Shijinno Tabi - 詩人の旅 茅原実里
2007年に発売した、声優・茅原実里の歌手活動再開後のファーストアルバム「Contact」のリード曲である。MVではピアノイントロから曲が始まっており、当然アルバムでもその通り収録されていると思いきや、実際はその前の曲のアウトロと直結しており、そのまま間髪入れずに始まる構成になっていた。
それはそれで一体感や勢いがあって好きなのだが、「詩人の旅」を単体で聴こうとしたら、当然ながら曲の途中からいきなり再生するような状態になってしまい、ピアノイントロVer.の音源化を早くから待ち望んでいた。
「Contact」発売から2ヵ月後に出たミュージッククリップに、ボーナスディスクとして新曲入りのCDが付くと聞いた時は、「いやいや新曲もいいけど、ここでこそ『詩人の旅』のピアノイントロVer.も収録すべきでしょ!」と叫んだものだ。
結局CD化も配信の報せも無いまま月日が経ち、流石にもう無理かなと諦め出してきた2014年、ベストアルバム「SANCTUARY」の発売が決定。これまでにリリースされた全シングル表題曲に加え、各アルバムのリード曲も収録されていたのだが、何と「詩人の旅」はピアノイントロVer.だった!
【茅原実里】ベストAL収録の「詩人の旅」はイントロが付いているVerです。CD音源化は初。Message01のPVでしか過去、世に出ていません。「詩人の旅」ファンもこのベストALは必携です!9/10発売。http://t.co/HoD3dtPHF6 #minorin
— ランティス (@lantis_staff) 2014年7月13日
SANCTUARY~Minori Chihara Best Album~
- アーティスト: 茅原実里
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: CD
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まさか発表から発売まで7年も掛かるとは予想だにしなかったが、とにかくまたとない朗報だった。
「SANCTUARY」にはそれ以外にもアレンジが変更になった楽曲があるのでファン必聴の一作である。
とまあこういう事もあるので、上に挙げた9曲も何らかの形で音源化を果たすかもしれない。とはいえ正直なところ、今後その可能性が多少なりともあるのは、ウルトラシリーズ楽曲である「Rush!!ウルトラフロンティア!!」くらいだろう。
何たって円谷プロでは、1970年代に制作された超低予算ミニドラマ「レッドマン」と「ウルトラファイト」のサントラが40年以上経過した2017年に発売したことがあるほどなのだから。
あ、でもそれ引き合いに出すとあと40年は待たないといけないのか・・・流石にそれは辛いので、もうちょっと早めにCD出してください円谷さん。